2010年4月24日土曜日

「アメリカの就労ビザが欲しければ留学せよ」を実行した感想

渡辺千賀さんのブログ「On Off and Beyond」では、アメリカ西海岸のサンフランシスコ・ベイエリア、通称シリコンバレーを中心に、IT分野等における雇用にまつわる様々なお話が紹介されています。その中で、「アメリカの就労ビザが欲しければ留学せよ」というエントリがあります。私は、まさにこの助言を実行し成功したことになります。(おかげさまで、H1Bビザの申請が認可されました)

そこで今回、「アメリカの就労ビザが欲しければ留学せよ」を実行した感想を述べたいと思います。(アメリカの就労ビザを取得する何か別の方法と比較するわけではありません)

大学卒業後に与えられるOPTは就職活動上とても重要
渡辺千賀さんによる上記助言の根拠の中心となるのが、以前のエントリでご紹介したOPTです。OPTは外国人に対し非常に就労上重要な条件、すなわち「卒業後に就労ビザなしでも働き始めることができる」という条件を与えてくれます。言い換えると、外国人がアメリカで就職活動する上で不利な状況をかなり和らげてくれます。最終的には、就労ビザを申請するコストが雇用する側にかかりますが、それでも、まずは試しに雇用してもらい自分の仕事ぶりをアピールできるのは明らかに有利だと思います。

英語の訓練・準備ができて良かった
就労ビザが欲しい理由はもちろんアメリカの会社に就職したいから。となると、もちろん仕事は英語でこなすことになります。やはり、いきなり就職するよりも、修士課程の学生として大学で過ごした2年弱は、とてもよい英語の訓練になったと思います。実際、修士課程で履修したコースでは、一方的に講義を聴講するだけでなく、数人の学生とプロジェクトに取り組むこと必要があります。しかもGMUでは、仕事をしながら修士課程を履修するパートタイムの学生が多いため、そのようなプロフェッショナルと一緒にプロジェクトに取り組むことができました。もちろん、リサーチアシスタントとしてGomaa先生と研究をしたり、研究プロジェクトに参加し他の教授と議論したりミーティングに参加したり、と研究活動においても英語の訓練になりました。

また、会社で仕事をするということは、お給料をもらうということでとても大きな責任が伴いますが、 大学での上記プロジェクト等ではそのようなプレッシャーはありませんし、先生やプロジェクトメンバも「Kojiはアメリカにきて間もないから英語が微妙でも仕方ない」というちょっと優しい雰囲気をかもし出してくれたような気がします。

いろんな人とたくさん出会えた
一般に言えることだと思いますが、大学では出会いの場がたくさんあります。まして留学生向けイベントは山ほどあります。会社勤めしているより、大学生の方が出会いの場は圧倒的に多いのではないでしょうか。コネクションの国アメリカ。いろんな人とたくさん出会えるのは重要ではないかと予想します。

文化・考え方の違いを事前に勉強できて良かった
単に日常生活のことを言っているのではなく、ソフトウェアプロジェクトや研究を進める上で、いろいろな国から来ている留学生やプロフェッショナルと一緒に仕事したことで、考え方の違いや、反対に思ったより違いがない事がわかったり、とても良い勉強になりました。また、そういった違いを受け入れる、あるいはあまり気にせず流す心構えができてきたように思います。これから就職して会社で仕事する上で、とても役に立つだろうと思います。

アメリカでの貧乏学生は苦痛
ご存知のように、アメリカにおける学費高騰、医療費高騰、健康保険の問題は、貧乏学生にはつら過ぎです。まして、養う家族がいる私にとっては精神的拷問でした。リサーチアシスタントとして大学からお給料をいただき学費ほぼ全額免除でしたが、あくまでも独身の留学生であれば何とかやっている金額。日本で会社に勤めていた頃にこつこつ貯めた貯金を切り崩しながら、この不景気で卒業後に就職できるのかという不安の毎日。頑張って勉強する/就職活動することが、僕の気持ちを落ち着かせていました。言い換えると、週末に心の底から休むことができなかったような気がします。正直、妻子ある方のアメリカ自費留学はお勧めできません。(苦笑)

感想のまとめ
以上をまとめると、個人的な意見としては、独身であれば「アメリカの就労ビザが欲しければ留学せよ」に強く賛成です。上記のように、最終的に会社に就職して仕事をする上で、留学はとても良い準備期間になりますし、何よりもOPTが就職活動上とても有利に働きます。また、出会いの場がとても多い大学、違う色の目をした運命の人と出会えるかも!?

一方、私のように妻子のある方は、、、相当の覚悟が必要です!
でも、とても苦痛だった分、就職が決まったときのあの瞬間は言葉で表現できないくらい最高です。



以下は、今回の留学と就職活動を経験上強く感じたことです。これから留学を考えている方々に役に立てば幸いです。

留学先(大学・地域)の選択は就職活動上非常に重要
このエントリでもご紹介したように、アメリカでの就職が最終目的の場合、ワシントンDC近辺への留学はお勧めできません。周辺企業のほとんどは米国政府関係ということで、外国人は門前払い、基本的に雇ってくれません。IT関連の分野の人は、西海岸はもちろん例えばテキサス州等の地域も良いのではないでしょうか。

また、できればスタンフォードやカーネギーメロン大学等の、いわゆるトップスクールに留学した方が、就職活動上断然有利だと痛感しました。なぜなら、そのような大学の就職フェアでは、有名どころの企業側から面接に来てくれるからです。これが留学生にとってなぜ重要かというと、
  1. 正規ルート(ウェブサイト)で応募しても返事が来ることはほとんどない
  2. 正規ルートで応募してラッキーにも返事があったら、まず電話面接からスタート
上記のうち、特に2.については個人的に重要でした。残念ながら私が留学しているGMUは上記のようなトップスクールではないので、正規ルートで応募し数多くの電話面接、最終面接を乗り越えて就職に至りました。その中で、特に電話面接は英語という点でとても大変でした。やはり電話越しでの英語は音質が悪いので、聞き取りにくいし自分の発音もしっかりしないと理解してもらえないからです。

一方、トップスクールでは、最初の電話面接の代わりに、就職フェアにおいて面接が行われるようです。そこでうまくいけば最終面接に進む、つまり電話面接はないわけです。これは、英語訓練中の留学生にとってはとても大きいと思います。

4 件のコメント:

Kenichi さんのコメント...

4/17日付のCAPITALにもOPTの追加延長の話が出てました。何はともあれ、今後のご活躍をお祈りしてます。

Koji Hashimoto さんのコメント...

Kenichiさん、コメントありがとうございます。理科系の卒業生は、STEM Extensionというのに申し込むことができ、17ヶ月米国滞在を延長できます。卒業後合計で2年半弱の間、学生ビザで就業できちゃいます。最初はH1Bビザのサポートをしてくれない会社に就職しても、上記2年半弱の間にサポートしてくれる会社に転職可能ですよね。

Kenichiさんの、残りの滞在が引き続き有意義となるようお祈りしています。

chica さんのコメント...

はじめまして。私も今年H1bを申請しています。私は日本で大学を卒業したばかりで今は日本で弁護士からの連絡待ちです。許可が出てよかったですね!おめでとうございます!申請が許可された連絡はいつ頂いたのですか?私はエクスプレスではないのでもう少しかかるかと思ってますが、今年は申請人数も少ないのでそろそろかな?とか、人数が少ない分厳しく審査しているのかな?っと色々不安です。

Koji Hashimoto さんのコメント...

chicaさん、コメントありがとうございます。日本で就職活動をされて、H1Bの申請に至ったんですか!?すごいですね!もしよければ経緯を教えていただければ幸いです。きっと興味を持っているほかの人にもとても役に立つ情報なのではないかと思います。

私の場合はエクスプレスだったので、4月1日に申請して15日に認可の連絡が来ました。今年は申請数がとても少ないので、chicaさんも無事に取得できるのではないでしょうか。特に審査が厳しくなるようなことはないと思います。良い知らせが来ることをお祈りしています。