2009年6月30日火曜日

Reflective Ecore Model Diagram Editorの開発再開

去る6月24日私がOcean Cityに行っている間に、Eclipse 3.5 Galileoがリリースされました。遅ればせながら、昨日Eclipse Classic 3.5.0をインストールしました。

Eclipse 3.5 - New and Noteworthy

Reflective Ecore Model Diagram Editor (DynamicGMF)の開発再開
実は、春セメスターが終わって夏休みに入ってから、私が2007年に公開したEclipseプラグイン、Reflective Ecore Model Diagram Editorの開発を再開していました。Eclipse 3.4 Ganymedeをベースに開発をしていたのですが、昨日Galileo上での正常動作を確認しました(EMF、GMFの後方互換性維持に感謝)。

研究の合間に、現在ほそぼそと取り組んでいるのは、Ecoreファイルへの対応です。現状はXSDファイル(XMLスキーマ)のみに対応しています。XMLスキーマファイルを指定すると、そのXMLスキーマをダイナミックにEcoreモデルに変換し、そのインスタンスをグラフィカルに編集可能にしています。Ecoreファイルに対応できれば、ユーザはEcoreファイルを指定しそのインスタンスを編集可能になります。開発の難しさを考えると、Ecoreファイルへの対応の方が簡単で、開発する順番が逆だったかもしれません。

新規ウィザードを改造中
上記のように、2種類(以上)のファイル形式をサポートするためには、ユーザがファイル形式を選択できるように、新規ウィザードを改造する必要があります。そこでまず、拡張ポイントを新規に用意し、新しいファイル形式(および同ファイル形式に特化したウィザード実装)を追加できるようにしました。そして、上記拡張ポイントに登録されたファイル形式を選択できる、以下のようなウィザードページ(より正確には、ウィザード選択ページ)を作成し、新規ウィザードの1ページ目に持ってきました。上記スクリーンショットでは、XSDファイルのみが上記拡張ポイントに登録されている状態です。現在は、上記のように新規ウィザードの改造が完了し、従来のままXSDファイルのみが対応している状態です。次のステップは、Ecoreファイルに特化した新規ウィザードを作成し、上記拡張ポイントに登録します。

2009年6月29日月曜日

国立自然史博物館

Ocean Cityに行った6/23(火)から昨日の6/28(日)まで、自分の中で夏休みと位置づけ、研究・勉強は一休みしていました。この夏休みの最終日の昨日、家族とワシントンDCにある国立自然史博物館に行ってきました。内心、航空宇宙博物館にも行こうかと思っていたのですが、自然史博物館はとても広く見所が多かったので、この博物館だけで一日を過ごしてしまいました。

よく考えたら、家族が渡米してから約5ヶ月半経つというのに、家族とワシントンDCに行くのはこの日が初めてでした。

Smithsonian Folklife Festival
つい先日レッドラインで大きな事故を起こしたワシントンDCの地下鉄でスミソニアン駅に着くと、モール内で偶然Folklife Festivalというイベントをやっていました。いざ国立自然史博物館へ
この日は日曜日だけあってかなり混雑していました。オーシャンホール
1階のオーシャンホールには大きな鯨やカニのはく製があったり、水槽に熱帯魚がいたり、子供たちは大喜びでした。
哺乳類のホール
同じく1階にある哺乳類のホールでは、ライオンやキリン、カバ等のはく製があり、これまた子供たちは大喜びでした。恐竜の化石
同じく1階にある恐竜の化石コーナーでは、迫力満点のTレックスやステゴザウルス、トリケラトプス等の化石や復元模型があり、大人の私は大喜びでしたが子供たちの反応はいまいちでした。そういえば、恐竜のことを教えていなかったせいかもしれません。昆虫園
凄かったのは2階にあった昆虫園。残念ながら写真を撮るのを忘れてしまったのですが、ここは正式名称「Insect Zoo」だけあって、ほかの展示とは異なり生きた昆虫が展示されていました。とても珍しい昆虫がたくさん展示されていて、巨大な蜘蛛や植物の茎にそっくりの昆虫等が居ました。中でも、ミツバチの巣がガラス越しに見えるところがあって、無数のミツバチが忙しそうに行き来している様子も目の前で見ることができました。

上記の他にも、骨格のコーナーや宝石のコーナー等があり、ある程度ゆっくり楽しんでいたら、あっという間に一日費やしてしまいました。事前の評判どおり、自然史博物館は子連れ家族には最適の博物館でした。これだけ楽しめて、入場料無料は学生の私にはとても助かります。ワシントンDCには他にもたくさんの博物館があるので、子供たちが夏休みの間にできるだけ行っておきたいと思います。

2009年6月26日金曜日

Ocean Cityに行ってきました

私のアドバイザのGomaa先生が今週から2週間ほど夏休みに入られるということで、私も今週の火曜日から昨日までの二泊三日で、メリーランド州にあるOcean Cityというリゾート地に行ってきました。私が住むヴァージニア州Fairfaxからは車で4時間弱というところです。

View Larger Map
当初、ヴァージニアビーチに行こうかと考えていたのですが、昨年の秋セメスターにおいて英語のチューターをしていただいたMarilyn先生にOcean Cityについて薦めていただきました。

涼しい。。。
Ocean Cityはリゾート地ということで、ビーチで過ごしたりするつもりだったのですが、良くも悪くも湿度が低くてとても過ごしやすい気候。水に浸かってしまうととても寒い感じで、とても海水浴という感じではありませんでした。まだ6月終わりというせいもあったと思います。ただ、7月に入ると宿泊費が跳ね上がるので、この時期を選んでしまいました。

Francis Scott Key Family Resort今回泊まったのは、Francis Scott Key Family Resortというところで、正確にはモーテルのようです。子供のいる家族向けの宿泊施設で、アウトドア/インドアプール、ミニゴルフ、バーベキュー施設、バスケットコート、ビーチバレーコートなどが敷地内に備えられていて、この敷地内だけで十分1日過ごせてしまいます。なお、このホテルはビーチからは車で5分ほど離れていて、Ocean Cityの中心地Boardwalkへの無料シャトルが15分おきに用意されています。このホテルはtripadvisorというホテルレビューサイトで2009年度家族向け部門(?)全米10位にランキングされたようです。実際、そのレビューどおり、従業員はみな親切で、ビンゴやちょっとしたゲームのイベントも一日中企画されていたり、子供のいる家族にはとても助かるサービスが充実していました。また、シーズン中は軽い朝食(オレンジジュース、牛乳、コーヒー、マフィン、ドーナツ、バナナ)が無料で提供されていました。ただ、この朝食は受付のある建物まで自分で取りに行く必要がありましたが。
肝心の部屋はそれほど素晴らしい感じではありませんでしたが、基本的に寝るだけだったのでまったく問題ありませんでした。

BoardwalkOcean Cityはリゾート地ということで、広大なビーチが延々と続いています。そのビーチに沿うようにBoardwalkという木道があり、道沿いに無数のお店が並んでいて、ど平日(火、水、木曜日)にもかかわらず、たくさんの人でにぎわっていました。また、このBoardwalkの裏側にはリゾートホテルがひしめき合っていて、オーシャンビューの部屋がたくさん見えました。

名物フレンチフライ
そのBroadwalkで買って食べたのが、この名物フレンチフライ。この大きさはミディアムで7ドル。もっと大きなラージもありました。結構おいしかったですが、一人で全部食べたら胃がもたれそう。。。Funnel Cake
これを食べながら歩いている人もたくさん見かけたので、試しに食べてみました。これは、ドーナツみたいなもので、とても脂っこかったです。上記フレンチフライとダブルパンチで胃がもたれそうでした。
Crab Cake
リゾート地ということで、シーフードレストランがたくさんあります。1日目は、上記フレンチフライとFunnel Cakeだけで夕食が終了してしまったので、2日目はWaterman'sというシーフードレストランに行きました。
ここで頼んだのは、Waterman's Original Crab Cake PlatterとShrimp & Steak Combo。どちらも大体20ドル弱でした。Crab Cakeはカニのハンバーグみたいなもので、とてもおいしかったです。Jolly Rogersのミニゴルフ
意外に楽しかったのが、ミニゴルフ。別名パターゴルフでしょうか。上記のようにとても過ごしやすい気候だったので、海水浴はとてもできませんでした。そこで、インドアプールや遊園地で過ごしたのですが、意外にも家族はミニゴルフが気に入り、合計3回もプレーをしてしまいました。その中で、Ocean Cityで最も大きな遊園地JollyRogersにあったミニゴルフでは、ジャングルの中でプレーするのですが、そこにあった噴水やら川の水が青色に染めてありびっくり。かなり気持ち悪かったです。

アメリカならではの高速道路
上記のように、自宅からOcean Cityまでは片道4時間弱。ワシントンDCを抜けたとたん、延々と広大な高速道路が続きます。アクセルを踏まなくても一定速度を保ってくれるクルーズコントロールはかなり便利だと思います。途中、ワシントンDCからChesapeake湾を渡るChesapeake Bay Bridgeという巨大な橋を渡りました。本当に大きな橋でした。ワシントンDCから渡る際には2ドル50セントかかるのですが、帰りはお金を取られませんでした。ちょっと不思議。
家族とともに渡米して、初めて旅行に行きました。久しぶりに大きな気分転換ができてとても楽しかったです。ふと気がついたのが、この小旅行は海外旅行のようなそうでないような、ちょっと不思議に感じたことです。だんだん、米国での生活に慣れてきたせいか、自分の周りが外国人だらけ(というか私達が外国人なのですが)でも、それほど違和感を感じなくなってきたのかもしれません。

2009年6月18日木曜日

Conversation and Culture Workshop

昨日からGMUにおいて無料の英会話ワークショップ「Conversation and Culture Workshops」が始まったので参加してきました。

この夏休みには、このワークショップの他に、以下のように「Pronunciation Workshops」と「Advanced Grammar Review Workshops」が無料で開催されています。Pronunciationの方は2008年度秋セメスターに一度受講したことがあるのと、文法については特に改めて勉強する必要はなさそうなので、この2つは参加するつもりはありません。初回の様子
参加者は全部で12,3人程度。私の他にもう二人も日本人がいてびっくりしてしまいました。GMUのキャンパスで日本人に出会えることはなかなかないので。あとは、中国人が5,6人、インド人2人、サウジアラビア人2人、イタリア人1人、という感じで、やはりとても国際色豊かな参加者達でした。春セメスターはとても忙しかったため、このようなワークショップに参加できませんでしたが、久しぶりに参加して私にとってとても新鮮でした。

今回は初回ということで、まずはお決まりの自己紹介。その後、4人程度のグループを作り、自分達の名前について、以下のことを説明しあいました。
  • 母国語ではどう書くのか
  • どういう意味を持っているのか
  • だれが名づけたのか
  • (米国において)自分の名前のせいで何かトラブルがあったか
  • 子どもにはどういう名前を付けたいか
最後に、クラス全体で二人だけ、上記について改めて全員の前で話しました。上記グループにおいて私が話す時間がほとんどなかったので、せっかくなので自ら手を挙げて全員の前で話しました。私のファーストネーム「幸司」のそれぞれの漢字の意味を説明したり、ラストネーム「橋本」の意味を説明したり、ついでに「田中」の意味や由来も話しちゃいました。

こういったワークショップの良いところは、別に成績等は関係ないので、リラックスして参加できるところだと思います。また、参加者全員がネイティブスピーカーじゃないので、自信もって英語をしゃべれるのも重要だと思います。この二つの要素「リラックス」+「自信」のおかげで、いつもよりたくさん英語をしゃべれるような気がします。

2009年6月17日水曜日

PBLインタビュー

私が日本で卒業した大学の情報工学科では、2000年度からPBL(Program Based Learning)と呼ぶ取り組みを始めたそうです。昨日、このPBLの一環として、大学1年生のグループからSkypeを使ってインタビューを受けました。このグループの代表(?)の学生さんとは、事前に電子メールで日程調整し、Skypeでのインタビューでもその彼が主に応対をしてくれました。電子メールでの文章に加え、インタビューにおける実際の応対においても、とても礼儀正しいしっかりとした応対でとても感心しました。

PBL(Program Based Learning)
私の母校では、学生が自分で問題を解決する能力を身につけるための取り組みが行われているそうで、PBLはそのひとつだそうです。
学部1年生の学生さんが取り組む、今回PBLのテーマは
学生時代で何を学ぶべきかについて自分たちでテーマを設定し、さまざまな調査を行い、調査結果をインターネットで発信する
だそうです。おそらくグループ分けされた学生さんたちが、社会人にインタビュー等を行いレポートを作成するのではないかと思います。このたび、学生さんのうちの1グループが国際交流に興味があるとのことで、日本の企業にて勤務経験があり現在米国に留学中の私にインタビューをしよう、ということになったようです。

このPBLという取り組み、学生にとってとても素晴らしい経験になると思います。「大学で何を学ぶべきか」大学1年生の段階で勉強の動機付けをしっかり考えるのはとても重要だと思います。私が大学1年生のとき、社会人の方にお話を聞くような機会はなかったように思います。もし私が大学1年生のときに社会人のエンジニアの方から将来についてのお話を聞けていたら、今とは違う人生だったかも!?

インタビューの内容
このインタビューの内容は、上記学生さんたちがレポートにまとめインターネットで配信されるということなので、詳細はそちらに譲りたいと思いますが、例えば以下のような質問を受けました。とても良い質問ばかりでした。
  • 大学時代にやってよかったこと、やっておけばよかったこと
  • (辞めるまでやっていた)仕事を選んだ理由
  • アメリカに来た理由
上記のほかに、「日本とアメリカの大学の違い」についても聞かれました。もちろん、この質問には答えることができたのですが、そのときにちょっと申し訳ない、というか残念だったのは、まだ米国または欧州の企業に就職して勤務経験を得ていないので、例えば「日本とアメリカ(欧州)の企業の違い」についてまだ答えられない、という点です。今回のインタビューではこのような質問は受けなかったのですが、これはまさに私の質問であって、自分の目で確かめたいと思います。

2009年6月15日月曜日

2つのキャリアパス

毎週土曜日は子どもの日本語学校があり、多くの日本人の方にお会いすることができます。先週の土曜日は、子どもが学校で勉強している間に、日本語学校で知り合った方のお宅にお邪魔しました。その方はMotorola USAに勤めていらっしゃるエンジニア、ということで仕事環境等いろいろとお話を伺うことができました。

その方はもともと日本でMotorolaの日本法人に勤めていたのですが、米国からの派遣エンジニアと仕事をするにつれて米国で仕事をしたいという想いが強くなり、異動を希望されたそうです。現在は、顧客先に常駐するシステムエンジニアのような仕事をされているそうです。

2つあるキャリアパス
Motorolaでは、マネージャのキャリアパスと、エンジニアのキャリアパスという、2つのキャリアパスがはっきりと定義されていて、各自が自由に選べるそうです。米国ではアメリカ人をはじめ、中国人やインド人等、さまざまなバックグラウンドを持ったエンジニアがたくさんいるそうで、なによりも日本人とは異なるため、そのような多種多様な人たちを纏め上げるのは一苦労だそうで、とてもマネージャにはなりたくない、とその方はおっしゃっていました。

分業がはっきりしている
この方はソフトウェアエンジニアではなく分野が異なるため、詳細はよくわかりませんでしたが、各自の仕事範囲がかなりはっきり分かれているそうで、良くいえば楽だとおっしゃっていたのが印象的です。きっと、その弊害があるのではないかと想像するのですが。。。

いつレイオフされるかわからない
特にこの不況のせいで、いつ首を切られるかわからない、とおっしゃっていました。自分の周りでレイオフされる仲間を多数見てこられたそうです。きっとその方は優秀なのだと思います、その方はMotorolaに10年以上勤務されています。ただ現在は、上記のように顧客先に常駐して顧客のシステム構築をサポートするポジションなため、この案件がなくなってしまったらどうなるかわからない、とおっしゃっていました。

サラリーネゴシエーションはない?
Motorolaでは、毎年はじめに目標を立て、終わりに評価をするが、生々しい額の交渉はしないそうです。ほぼ毎年昇給があったそうですが、今年は不況のせいで初めて昇給がなかったそうです。

上記のうち、やはり「2つあるキャリアパス」のお話が印象的でした。米国にはさまざま国籍の人が働いていて、みんながみんな日本人のようにまじめで従順ではないと思うので、そのような人たちを纏め上げるマネージャというポジションは本当に大変そうです。一方、エンジニアとしてずっとやっていくには、日進月歩で進化する技術に追従しながらスキルアップを継続する必要があるため、どの国にいようが大変だと思います。となると、あとは好き嫌いの問題、あるいは向き不向きの問題になるのではないでしょうか。とにかく、上記の2つの道を選べる、というのはとても素晴らしいことですね。

2009年6月12日金曜日

GMEメタモデリングコンセプト:Model and Atom

前回ご紹介したように、GMEでは、ユーザがメタモデルを定義すると、コードを一切生成することなくそのインスタンスモデルのグラフィカルエディタを提供します。そのため、GMEのM2モデル実装はインスタンスモデルのグラフィカルエディタの視覚効果に密接に関連しています。言い換えると、純粋なUMLベースのメタモデリングとはかなり異なるコンセプトが多く導入されており、賛否両論ではないかと想像します。

3種類のクラス
GMEのM2モデル実装には、以下の3種類のクラスが存在します。
  1. FCO(First Class Object)
  2. Model
  3. Atom(Atomic Object)
上記のうち、「FCO」は特殊な抽象クラスで、上記ModelやAtom以外の要素の親クラスにもなり得る、「なんでも親クラス」です。後日、ModelおよびAtom以外の要素についてご紹介しようと思っているので、FCOのご紹介はその後にしたいと思います。

「Model」は、UMLにおけるいわゆるクラスです。属性を持つことができますし、抽象クラスになることもできます。他のModelやAtomをコンポジション参照することにより、それらのインスタンスをモデルツリー上の子供にすることができます。

「Atom」もクラスの一種で、属性を持つことができますし、抽象クラスになることもできます。一方、上記Modelと異なるのは、ModelやAtomといった他の要素をコンポジション参照することができません。つまり、インスタンスのモデルツリー上では「葉」に相当するわけです。

グラフィカルエディタ上でのModelとAtomの違い
以下のメタモデルを例に、インスタンスモデルのグラフィカルエディタ上でのModelとAtomの違いを説明したいと思います。以下のメタモデルはModelおよびAtomのみを使った「ファイルシステム」メタモデルです。「FileSystem」オブジェクトは一つの"root"Folderオブジェクトを包含し、「Folder」オブジェクトは、「Folder」または「File」オブジェクトを複数包含することができる、コンポジットパターンです。
ユーザがメタモデルを完成させると、それを「Paradigm」としてGMEに登録します。すると、そのインスタンスモデルのグラフィカルエディタが利用可能になります。以下が、そのグラフィカルエディタの例です。
上記スクリーンショットでまずわかるのが、ModelとAtomで、デフォルトのアイコンが異なります。Modelのアイコンは灰色の大きな四角、Atomは青色の小さな四角になります。
そして、大きく異なるのが、それらのエディタ上での挙動で、Modelのアイコンをダブルクリックすると中央のエディタ領域が更新し、そのModelオブジェクトの子オブジェクト群が表示されます。例えば上記スクリーンショットは、"root"Folderオブジェクトの子オブジェクト群が表示されており、上記パレットから新たにFolderオブジェクトまたはFileオブジェクトをドラッグアンドドロップで追加できます。
一方、Atomoのアイコンをダブルクリックしても何も起こりません。なぜなら、Atomオブジェクトはモデルツリー上における「葉」であって、子オブジェクトを包含することができないからです。

インヘリタンスツリーの設計が紛らわしい
メタモデル上において、Atomを親クラスとして継承するModelを定義することができます(またはその逆も可能)。この点において、ModelもAtomも基本的にはクラスであることが再認識できます。一方、上記エディタ上での振る舞いの違いを理解した段階では、このインヘリタンスは混乱を招きかねないので、注意が必要です。

2009年6月11日木曜日

GME

私がリサーチアシスタントとして参加している研究プロジェクトSASSY(Self-Architecting Software SYstems)では、GME(Generic Modeling Environment)というモデリングツールをベースに研究を進めています。
私は渡米してから初めてGMEを知りました。GMEを使ったことがある日本人は私だけかも?

GME = (EMF + GMF) / 2 ?
GMEはVisual C++で実装されているためWindowsのみで利用可能なスタンドアローンツールです。乱暴に一言で表現すると、GMEはEMFGMFを足して2で割ったようなもの、という感じです。
GMEはMDAで言うところのM2レベルのモデル実装を提供していて(EMFで言うところのEcore)、それを用いてユーザがDomain Specificなメタモデルを定義することができます。GMEの大きな特徴は、いったんユーザがメタモデルを定義すると、ゼロコーディングかつコードを一切生成することなく、そのインスタンスモデルのグラフィカルなエディタを提供します。この点において、メタモデルからソースコードを生成するEMF/GMFとは大きく異なります。GMEは、強いて言えば、私が2007年に公開した「Reflective Ecore Model Diagram Editor」と同じコンセプトです。

たとえば、以下のようなメタモデルを定義し、インスタンス化可能なクラスに対してアイコンを指定します。
すると、以下のようなインスタンスのグラフィカルエディタを利用可能になります。
エディタ上の視覚効果を意識したM2モデル実装
GMEは(のちのちご紹介しようと思っていますが)独特なM2モデル実装を提供していて、純粋なEMOFの実装をしているEcoreとは全く異なります。EMF/GMFでは、ドメインを定義するモデルそのものとエディタ上での視覚効果を定義するモデルはそれぞれEMFおよびGMFに完全に分離されています。一方、GMEでは上記のように、メタモデルからグラフィカルエディタをコードの生成なしに提供するため、M2モデル実装が同エディタの視覚効果を意識せざるを得ない状況になっています。たとえば、クラス一つに対しても、GMEではFCO(First Class Object)、Model、Atomという3種類のクラスがM2レベルで定義されています。Modelは他のModelまたはAtomをコンポジションとして子供を持つことができ、Atomは子供を持つことができないクラスです。FCOはModelおよびAtomの両方を抽象化する親クラスです。ユーザはこの3種類のクラスを使い分けることにより、クラスの種類に応じてグラフィカルエディタの挙動をコントロールすることができます。一方、本来クラスとはクラスであって他の何者でもないはずなので、最初にGMEのM2モデルに触れるときはかなりの違和感を感じてしまいます。EMFに慣れ親しんできた私にとって、GMEはかなりとっつきにくいものでした。

GMEはEclipseに移行中
GEMS(Generic Eclipse Modeling System)というプロジェクトにおいてその土台をEclipse/EMFに移行しようとしています。現在のバージョンは3.0-rc3。GMEが提供している独特なモデリングコンセプトのほとんどが削ぎ落とされてしまっていて、まだまだ移行段階という印象です。GMEのモデルファイルをGEMSにインポート可能にすることを目標に掲げているようですが、まだ実現されていません。

2009年6月9日火曜日

Konowe家ご招待

先日の日曜日、BrandClick.IncのCEOジョシュアさん家族を自宅のアパートにお招きして、広島風お好み焼きを楽しみました。その際、すばらしいユリの花を持ってきてくださいました。ありがとうございます。BrandClick.Incは今
この不況のせいもあり、ジョシュアさんはBrandClick.Incのビジネスを売却し、現在はある会社のVice Presidentをしています。久しぶりに社員として働くことにちょっと違和感を感じているそうで、今も新しいビジネスアイデアを夜な夜な考えているとか。その証拠にこのようなウェブサイトを構え、チャンスを伺っているのではないでしょうか。

「バイリンガルの恩恵」に疑問符
ジョシュアさんの奥さんは、日本語、英語、ドイツ語を話せるトリリンガル。ちょうど前日に参加したセミナー「二言語環境に育つ子供たち」についてお話しし、以下の「バイリンガルの恩恵」についてどう思うか尋ねました。「実際にこのような恩恵を受けていますか?」
  • 豊かな言語文化体験
  • コミュニケーションの量と質が向上する
  • 自分を肯定的にとらえ、自信が生まれる
  • 柔軟性のある考え方、言語学習能力向上
  • 進路の選択肢が広がる
上記のうち、上から三番目については疑問だ、とおっしゃっていました。彼女は、日本で生まれ、小さいころにドイツで育ち、現在は米国に在住しています。大人になるまでの過程の中で、自分がいったい何人なのか分からなくなりずっと悩んできた、といいます。つい最近、米国国籍を取得し、ようやくこの悩みから解放されたような気がする、とおっしゃっていました。この悩みを乗り越えるまで、上記三番目の恩恵を受けられるかは疑問だ、とおっしゃっていました。

Japan: Robot Nation
話し変わって、ジョシュアは奥さんの影響もあり日常的に日本に興味を持っています。会話の中で、Japan: Robot Nationというビデオについて教えてくれました。

このビデオでは、日本の少子化/高齢化問題について取りあげています。少子化の原因として、働く女性の増加、疲れ果てている男性、等を指摘しています。そして、近い将来日本が迎える超高齢化社会を支えていく方法について議論しています。一つの選択肢は移民の受け入れ。しかし、日本の現状では、すでに移民労働者によって製造現場等を支えられているにも関わらず、治安悪化の懸念を感じる人が多いことや、差別の現実を指摘し、この選択肢の難しさを指摘しています。
そこで、超高齢化社会を支える方法として、日本はロボットを選択肢として考えている、というのがこのビデオのストーリーです。

アメリカは移民の国。移民を受け入れて発展してきました。日本は今、深刻な少子化問題を抱えています。これからどうやって発展していくのか、あるいは少なくともどうやって高齢者を支えていけばよいのか、考えさせられました。

2009年6月7日日曜日

ケアファンドセミナー「二言語環境に育つ子供たち」

昨日、JAケアファンド主催のセミナー「二言語環境に育つ子供たち」に参加してきました。講師は、ジョージタウン大学東アジア言語文化学部准教授の森美子先生。以下、案内からの抜粋です。

講演概要: 最近、米国では外国語教育への関心が高まり、将来を担う子どもたちに高い外国語力を身につけさせるための議論や試みが盛んになされています。その中で、家 庭で英語以外の継承語(保護者から受け継いだことば)を使う子どもたちが、高い二言語力を持つ人材として注目されています。
しかし、継承語は社会的教育的支援が少ないため、子どもの年齢が上がるにつれ、徐々に社会主要言語である英語へ置換されてしまうことが知られています。家 庭で使う言語と社会の主要言語が一致しない環境で育つ年少者の二言語習得を支援するには、まず、保護者が子どもたちの置かれている言語環境を理解し、年少 者が直面しうることばの問題を理解しておく必要があります。
セミナーでは、言語習得研究の見地から、年少者の二(多)言語習得の特質をまとめ、問題点を整理し、子どもたちの言語習得をどう支援できるかを考えて行きます。
今後、私の家族と私がどれくらい米国に滞在するかわかりませんが、言語に関し、私の子供達をどう育てていけばよいか、ヒントになるかと思い参加しました。

バイリンガルの恩恵
Bakerという研究者によると、バイリンガルであることの恩恵として以下が挙げられるとのこと。
  • 豊かな言語文化体験
  • コミュニケーションの量と質が向上する
  • 自分を肯定的にとらえ、自信が生まれる
  • 柔軟性のある考え方、言語学習能力向上
  • 進路の選択肢が広がる
私自身はバイリンガルではないので分かりませんが、上記のうち少なくとも最後の項目は事実ではないかと思います。

継承語を守る・育てる
継承語とは、保護者から引き継いだ言語、と定義されます。私達の場合、私の子供達の継承語は「日本語」ということになります。一方、社会主要言語とは、私達の場合「英語」ということになります。これまでの研究によると、容易に想像できるように、社会主要言語が継承語とは異なる国に滞在している場合、放っておくと三世代で継承語は完全に消滅するそうです。したがって、子供達の継承語を守る、あるいは育てるには相応の努力が必要だということです。

カミンズの二つの言語能力
カミンズという研究者によると、私達は以下の二つの異なった言語能力があり、「歌う」能力と「絵を描く」能力の関係と同じくらい、まったく異なるそうです。
  • Basic Interpersonal Communication Skills (BICS: 生活言語力)
  • Cognitive/Academic Language Proficiency (CALP: 学習言語力)
BICSという能力が必要な場面の代表的な例は「家庭の中」。「歯を磨きなさい」「手を洗いなさい」といった類のお母さんの言葉などなど。このような場面では、会話のコンテキストが自分の目の前にあるため、理解がかなり容易。

一方、CALPという能力が必要な場面の代表的な例は「学校」。たとえば、地理の時間でエジプトについて学ぶとき、子供達はエジプトについてまったく知らず、目の前にエジプトがあるわけではありません。したがって、エジプトについて知るためには、先生の言葉だけで知る必要があります。

将来、単に生活するだけでなく、仕事でバイリンガルとしての能力を発揮するには、CALPが必須だということが容易に想像できます。そして、ポイントは、小さいころに渡米してしまった、あるいは米国で生まれた子供が家庭の中で日本語を教えられたとしても、BICSは習得できたとしても、なかなかCALPを習得できないケースが多いそうです。

反対に、中学生、高校生ぐらいのときに渡米した子供は、英語についてBICSは習得できても、CALPを習得するのは時間がかかるので、CALPを習得できていないまま、米国の大学に進学するというつらい状況に置かれてしまうようです。

渡米年齢と二言語力
第一言語確立は思春期前後、だそうで、
  • 米国生まれ米国育ち、就学前に渡米し長期滞在する子どもは日本語より英語が強くなる
  • 第一言語確立後に渡米した子どもは日本語を保持しやすいが、英語取得に時間がかかる
という、研究結果が出ているそうです。補習校に通う日本人の高校生を対象に、小野式と呼ばれる日本語語彙テストの結果では、渡米年齢が10歳以降の子ども達に比べ、0歳から9歳までに渡米した子ども達の日本語能力が顕著に低かったそうです。同じく、上記高校生を対象に、小野式英語語彙テスト結果では、渡米年齢が14歳以降の子ども達に比べ、0歳から13歳までに渡米した子ども達の英語能力が顕著に高かったそうです。

以上データだけで言えば、上記「思春期」とは、大体10歳から13歳、と捉えることができそうです。

家庭での注意点
子ども達の継承語である日本語を守りたい・育てたい場合、今回のセミナーを受講し、私たち親は以下のような注意点が必要ではないかと考えました。
  1. 一貫性のあるコミュニケーション
  2. 子どもの置かれている環境の理解
  3. 積極的な日本語の教育
1.一貫性のあるコミュニケーション
子ども達は人の顔を見て言語を使い分けるそうです。したがって、子ども達に対し、お母さんがあるときは日本語で話しかけ、あるときは英語で話しかける、というような中途半端なコミュニケーションをすると、子どもが混乱するそうです。特に、配偶者の一方が外国人である家庭では注意が必要だそうです。私の家庭内では、徹底して日本語を使うべきかと思いました。

2.子どもの置かれている環境の理解
子ども達は、平日の月曜日から金曜日まで英語漬けで大変な思いをしているはず。せっかく家に帰ってきて日本語で話せると思ったら、しかられてばかりでは日本語を嫌いになってしまうかも。また、日常のしつけに関する言葉ばかりでは、一向にCALPを育てることができません。さらに、だんだん日本語より英語の方が強くなってしまう過程の中で、子どもが日本語の間違いをしたとき、どのように正すかも問題です。びしびしと間違いを正したりしていると、これもまた日本語を嫌いになってしまうかも。このような間違いに対しては慎重に対処すべきだと、講師が指摘していました。

3.積極的な日本語の教育
上記2.で少し触れましたが、CALPを育てるためには、かなり積極的な日本語の教育が必要ではないかと思いました。
渡米して約5ヶ月という私の子ども達が、現地校に通っています。早く新しい(言語)環境に馴染み友達を作り楽しく過ごしてほしい、という想いから、今までは家庭の中で子ども達に対し英語の勉強を促してきました。たとえば、夕食の席で英語で話しかけてみたり。
ですが、今日のセミナーを聞いてみて思い出したのは、子ども達は一週間の中で英語で過ごす時間が圧倒的に長く学校で英語教育について多くの支援を受けている、ということでした。現地校に通いだして4ヶ月以上過ぎ、ようやく慣れてきた現段階においては、家庭内でもう英語について支援しなくてもよさそうではないか、と思いました。それよりも、日本語について積極的に教育すべきではないか、と思いました。

自分なりのまとめ
米国の滞在が長くなるほど、現地語が強くなり継承語が弱くなる。長い目で見ると、こういう現実があることをこのセミナで再認識することができ、とても良かったです。私の子ども達には、日本人として日本語を失わせたくありません。まだまだ英語をしゃべれないにしても、だいぶ慣れてきたように思える現段階では、家庭で英語を支援するよりも、日本語をしっかり教育した方が良さそう、と思いました。英語は放っておいても伸びる、それよりも日本語の読み書きを辛抱強く身につけさせたいと思いました。

2009年6月2日火曜日

新しい研究室

去る4月中旬、私が所属するDept. of Computer Scienceを含む、The Volgenau School of Information and Engineeringの新しいビルEngineering Buildingが完成し、引越しをしました。以前の研究室があったScience Technology IIの建物より、さらに3分ほどバス停から遠くなってしまいました。利点といえば、学生は無料で利用できるスポーツジムが目の前になったぐらいです。。。

新しい研究室
以下の写真が新しい研究室の中の様子です。落ち着かない床の模様。以前の研究室の住人がそのままこの研究室に引っ越しました。現在、約9人でこの部屋を使っています。以下が私の机です。とにかく、この新しい研究室は快適ではありません。第一にパーティションがないので一切プライバシーがなく、集中できません。しかも、以下の写真でお分かりのように、私が座ったときに右側の机に座っている学生は私のほうを向いているんです。気になって仕方がありません。
自宅に24インチのモニタを購入したので、正直、居心地の悪いこの研究室よりも自宅のほうが遥かに集中できるのが現状です。幸い、パーティションを買って設置してくれるという話になっていますが、いつになることやら。

2009年6月1日月曜日

Great Country Farms

先日の日曜日、イチゴ狩りをしに、Dulles国際空港から北西に車で30分ほど行ったところにある、Great Country Farmsに行ってきました。好天に恵まれ、とても気持ちよかったです。
このGreat Counrty Farmsは、イチゴだけでなく季節に応じてブドウ等の他の果物のPickingもやっているようです。また、そのような果物狩りだけでなく、豚や牛、鶏、うさぎといった動物と触れ合える場所や、巨大なトランポリンや迷路、滑り台といった遊具もたくさんあり、子連れの家族にはもってこいの場所です。また、Fairfaxという都会からほんの1時間車で走っただけのところでありながら、大自然に囲まれていて、とても癒されます。
Strawberry Jubliee U-pick Festival
昨日はイチゴ狩りのフェスティバルをやっていて、バンドの生演奏やパイ早食い競争等のイベントをやっていました。このフェスティバルは今週末もやるみたいです。

肝心のイチゴは。。。
上記のように、いろいろと子供が喜ぶものがたくさんあって、とても楽しんだのですが、肝心のイチゴ狩りで採れるイチゴはちょっといまいちでした。以下の写真でお分かりのように、日本で考えられないような放置されたイチゴたち。雑草もぼうぼうです。これではおいしいイチゴはできないのでは。。。